サーカスアーティストをしながら、サーカスのことをマニアックな目で愛でるYasuの「ちょっとサーカスなお話」第5回は、4月15日から17日にラスベガスで開催されたサーカスのフェスティバル「VIVA Festの日本人パフォーマーの輝かしい結果!」なお話です。
おさらいですが、先月ご紹介した「VIVA Fest」は、毎年スプリングブレイクに行なわれるサーカスのフェスティバルで、審査員には世界最高峰のサーカスカンパニーCirque du Soleilのキャスティングや、あのオーディション番組Americaʼs Got Talentのキャスティングなど、言わば公開オーディション!!!世界各国からパフォーマーが集結します!!!しかし、2019年以降、ここ3年間は、コロナ禍の影響で中止となっていました。ようやく今年開催されたのですが、出演者募集が始まった去年の11月からオミクロン株の脅威で、申込者の辞退が相次ぎ、開催が危ぶまれ、開催地も当初予定されていたダウンタウンラスベガスから、ヘンダーソンの体操ジムに縮小されることになりました。しかし、蓋を開けてみると、見込み競技参加者を100名以上多い、世界10カ国から375名320組のサーカスの強者が参加しました。例年より少ないものの、45のサーカスワークショップと7つのサーカスセミナーも新たに行なわれ、新しい風も吹いています!
日本人パフォーマーも11月からの応募で、沢山のパフォーマーが登録を試みましたが、厳しい参加条件によって、出場を断念したパフォーマーがたくさんいらっしゃいました。
「5歳以上の出場者は、ワクチン2回接種してへんかったら出場できへんで!」
アメリカに入国するには、2021年11月から18歳以上のワクチン2回接種の義務化が決まっていましたが、それよりも厳しい条件だったんです。
日本ではまだ5歳以上のワクチン接種が承認されていない時期だったため、5歳以上12歳未満のジュニアパフォーマーの出場は確実にできないし、12歳以上であっても厳しい状況でした。何度も何度も事務局とも話し合い、プロデューサー、ディレクターにも会いにいきました。
Yasu「日本はまだ5歳からのワクチン接種認められてないねん。。。特例で出場させてもらえへんだろうか??」
プロデューサー「なんとかしてあげたいんやけどなぁ。。。例外は作れへん状況やねん。。。」
Yasu「そこをなんとか。。。お願い!!!」
ディレクター「ごめん!あかんねん!アメリカの親御さんからもクレームはいっぱいやけど、ここはクラスターを避け、来年以降の開催を考えたら絶対守らなあかん!!」
この素晴らしいフェスティバルは、日本人パフォーマーにとっても、世界のパフォーマーにとってもとても重要な公開オーディションであるため、今後のことを考え条件に従うしかありませんでした。その代わり、このコロナ禍での渡航の厳しさを充分と理解してくださり、万が一の渡航禁止の時の返金や、その他優遇措置を設けていただき、少し安心して挑戦できる環境は用意してくださいました。
それでも2021年12月時点では、アメリカから日本帰国後2週間のホテルと自宅待機など、条件は厳しく、どれだけパフォーマーが世界へ挑戦しても、日本帰国後3週間以上日本での活動ができないという条件はどのパフォーマーにとっても厳しすぎる条件でした。
そんな中でも「挑戦する!」と決めたパフォーマーがたくさんいらっしゃったことは、本当に誇るべきことだと思います。大会が近づくにつれ、状況は良い方向に向かい最終的には、ブースターを済ませた日本人帰国者の自宅待機が免除されるなど、出場登録時の条件よりも良い方向に行ったことは本当に良かったと心から思います。
結果的に日本人パフォーマーは、10名7組が今回のVIVA Festに参加することができました!!このような経緯から、参加すること自体が挑戦であった日本人パフォーマーでしたが、さらに!!輝かしい成績を収めました!!
それでは、ここからはそんな日本人パフォーマーの皆さんの成績を発表したいと思います!
読者A「前振り長すぎやん!」#ごめんて
先ずは、ジャグリング・手具部門、ニューパフォーマー枠のみなさん。
この部門には4名の日本人パフォーマーが出場しました。
成績は、2位 Dumboくん(クラウン・ディアボロ)、3位 森くん(ディアボロ)、4位 瞬時くん(8リング)、7位 リューセーくん(けん玉)
四人ともそれぞれ日本人らしい世界観の作り込みと繊細さを舞台上で表現し、あの独特な空気の中で見事戦い抜きました。2位のDumboくんは2019年にも出場し、評価が低かったのですが、そこを3年間で改善し、見事2位に輝きました。森くんは、2つ、3つ、4つと他のパフォーマーが使うのが普通のディアボロをあえて1つだけ使用し、感情を表現した技術的にも高い(マニアック!)な技も入れた作品に仕上げました。瞬時くんは、海外ではほんまに珍しい8リングという不思議な道具を使用し、独特な世界観を表現。僕自身、これがどのように審査員に評価されるのか興味津々でした。手応えはバッチリです!今後の彼の飛躍にメッチャ期待してます。リューセーくんは、彼にしかできないオリジナルのけん玉の技に果敢に挑戦!奇しくも失敗が嵩み時間オーバーしてしまったのですが、最後はその大技を決めて、会場をメッチャ盛り上げました。
続いて、エアリアル20歳以下部門、ニューパフォーマー枠。
遠藤さやねさんが、見事2位に!なんと、1位との差が50点満点中なんと0.55点(3位との差は5点以上)本当に僅差の2位でした。そして、彼女は審査員特別賞も獲得!しかもまだ16歳です!本当にこれからが楽しみです!!
そして、今回唯一団体で参加したティーネージャー四人組ハンドバランスアクトのWicked。彼女たちは、地上演技部門ニューパフォーマー枠で見事に優勝しました!!
3年前は……
審査員「技はすごいけど……体操競技みたいで演技力がないからなぁ。。。これじゃ芸術点は低いわ。」
と、意見を聞いた審判全員に言われました。しかし、今回は、そこをしっかりと克服し、素晴らしいショーケースに作り上げ、文句なしの全員一致で優勝でした!
本当におめでとうございます!
そして、最後は、
Komatan(和駒のパフォーマー)
世界各国から選ばれた9組の異なる種目のパフォーマーによるVIVA FestメインイベントWCAC(World Circus Arts Championships ) に出場し、見事Cirque du Soleil イノーベーティブ特別賞とFlynn creek circus賞のダブル受賞!
大掛かりなエアリアルアクトや、ポールアクトなどの中で、手のひらに乗る小さな和駒で挑戦!日本人の細かすぎて伝わらないかもしれないミリ単位の繊細な技を披露しました!時折見せるハニカミの笑顔に、張り詰めた会場がほんわかする場面もあり、Cirque du Soleil キャスティングのキャスティングのチャーリーさんも「メッチャ珍しい!こういう細かいのもおもろい!」と大絶賛でした。彼は、一つ彼のスタイル「大道芸」を大会だからこそできることに気づき、舞台上に取り入れました。本来であれば、自分の名前がコールされて、音楽がかかり、そこからアクトがスタートするのですが、彼は、名前をコールされた後、無音の中、自ら舞台上に自分の道具を持っていき、セットして、お客さんの前に笑顔を見せてから音楽をかける。という、「完全に流れを止めて、自分に注目を引きつけ、それまでの雰囲気をリセットさせる」という大技を大舞台でやってのけました!痺れました!
もう一度、今回出場したパフォーマーのみなさんに拍手!!!
日本にはまだまだ、世界では無名だとしても素晴らしいニューパフォーマーがたくさんいます。これからも、そんな日本人パフォーマーを見つけ出し、ここラスベガスに紹介できるよう、富士山の麓にある富士山サーカスランド代表として(大きな計画を立てています)さらにさらにマニアックに、そしてダイナミックにみなさんと一緒にやっていきたいと思いますので、これからもよろしくお願いします。
Yasu Yoshikawa
4人組ハンドバランスアクトのWicked
地上演技部門ニューパフォーマー枠で見事に優勝!!
VIVA FestメインイベントWCAC(World Circus Arts Championships ) に出場し、見事Cirque du Soleil イノーベーティブ特別賞とFlynn creek circus賞のダブル受賞!
Dumboくん(クラウンディアボロ)
森くん(ディアボロ)
瞬時くん(8リング)
リューセーくん(けん玉)
ジャグリング・手具部門、ニューパフォーマー枠表彰式
2位 Dumboくん(クラウンディアボロ)、3位 森くん(ディアボロ)、4位 瞬時くん(8リング)、7位 リューセーくん(けん玉)
遠藤さやねさん、エアリアル20歳以下部門、ニューパフォーマー枠で2位。審査員特別賞も獲得!
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