サーカスアーティストをしながら、サーカスのことをマニアックな目で愛でるYasuの「ちょっとサーカスなお話」第8回は「トップレスのサーカス!Rouge」なお話しです。
今月紹介するのは、今ラスベガスのサーカスエンタメ界でちょっと話題になっているショー「Rouge」です。このショーは、先月お話した専用「じゃない」劇場であるストラットシアターで22時から行われているトップレスサーカスショー!!
トップレスと聞いて皆さんどのようなショーを思い浮かべますか?
「エロくて、大人な雰囲気で、観に行くのちょっと恥ずかしいわ。。。」
「興味はあるけど、お高いんでしょ?」
そんな声が聞こえてきますネ。
日本ではあまり馴染みはないけど、トップレスショーはラスベガスではかなりポピュラーです。ラスベガスにいらっしゃったらぜひ観ていただきたい!異文化を学ぶのにもとても良いエンタメです!
そんなトップレスのショーの中でも、「Rouge」は、更にサーカスエンタメの要素が強く入った、熱くて楽しくてセクシーなショーで、お値段も比較的リーズナブルになっています。
さて、実はこのショーは、ある一人の男の情熱からスタートしているんです。そんなちょっと小話を今日はご紹介します。
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主人公は、このショーのプロデューサーであり、ディレクターでもあるイスラエル出身のハネック·ロッセンさん。シーザースエンターテイメントのファミリーショーの「Wow 」「Extravaganza」のプロデューサーでもあります。
彼の頭の中には一つ夢がありました。
それは、シルク·ドゥ·ソレイユの18禁だった大人のショー「Zumanity」に匹敵するような、美しくセクシーだけどハイクオリティなエンタメサーカスショーを創るということ。そんな夢を思い浮かべていた2020年、ラスベガスエンタメ界に激震が走りました。その「Zumanity」がパンデミックの影響もあり、17年の歴史に幕を下ろすと発表されたのです。
その時のハネックさん「うわ!ほんまに??めちゃ好きやったのに!終わっちゃうやん!あんなショーが絶対ラスベガスには必要やねん!!なくなってしまうんやったら、どうにかして作らなあかん!!」
彼はすぐさまビジネスパートナーであるシーザースエンターテイメントに話に行きました。
シーザースの偉い人「いや、一応、トップレスショーの ‘XBurlesque’と‘XCountry’は俺らもやってるから。それとかぶってしまうから無理やわ」
ハネック「ちゃうねん!作りたいのは女性だけではなくて、もっと男女のフリーダムボディーの、こんな感じで、あんな感じの......」
シーザースの偉い人「なんか知らんけど競合は作りたくないねん」
ハネック(あかん!別のところに相談に行こう!)
そこで彼が行ったのが、SPI Entertainmentのアダムさん。この会社は、世界的にパフォーマーを派遣しているエージェントでもあり、いろんな国でショーを作っている大きなカンパニーです。
ハネック「ラスベガスには、女性が男性を魅了するトップレスショーだけじゃなくて、男性が女性を、男性が男性を、女性が女性を魅了するようなジェンダーフリーで、総合的なトップレスエンタメなフリーダムボディーのショーが必要やねん!!」
アダムさん「なるほどな!それはそうや!ほな、ストラットホテルにめっちゃいいシアターがあるから紹介してあげる!!そこなら、あんたの夢、叶うで!!ワクワクするやん!!ほんでお前の説明カタカナ多いし、そもそもフリーダムボディーって何やねん??」
その頃、ストラットシアターでは、
22時に公演していた「イルミネイト」というショーを夕方の早い時間に持っていこうと考えていたところで、22時の枠に別の何か大人のショーを入れようと考えていたところでした。
情熱とタイミングって本当に大事ですよね!!
ストラットの人「22時の枠に大人のショーを??それはいいやん!そういうの探してたんや!!ぜひやろう!! ところでフリーダムボディーってなんやねん⁉︎」
ということで劇場も決まり、ハネックさんの熱い思いが色んな人を動かしていきます。
めっちゃ有名な振付師や照明デザイナー、衣裳デザイナー、映像デザイナー、音楽ディレクター、それぞれその道の一流の人達がフリーダムボディーの精神に集結していきました。
ちなみに彼はいくつかのインタビューで本当に「freedom of the body」が大切だと言っています。聞いた人は絶対最初は 「??」だったと思います。
さらに「Rouge」は、トップレベルのプロパフォーマー男女18人が選ばれました!
バレエダンサー、軟体のコントーショニスト、エアリアルパフォーマー、アクロバットダンサー、みなさん容姿もきれいで更にパフォーマンスレベルもトップレベルです。男性も僕が言うのもなんですが、かっこよくてムキムキで更にトップレベルのパフォーマーがたくさん出演しています。
そして特筆すべきは、このショーのホストを務める二人です。
今までラスベガスで公演されているトップレスのショーや、大人のショーは、ほぼ全てと言って良いくらい下ネタとブラックジョークが過ぎるんです。確かにそういった言葉や仕草は、安易に笑いが取れるかもしれません。しかし、すでにショー自体にオトナな雰囲気とエロティックなアクトがたくさん入っているので、彼らはできるだけそういう言葉を使わず、きれいな笑いとキャラクターで観客を魅了すると決めたそうです。
また、先月号に書いたようにこの劇場は、一日に4つの別のショーが行われているRouge専用「じゃない」劇場ですので、舞台装置にそれほど凝った装置を作ることができません。だから、衣裳に力を入れたり、照明効果を工夫したりしています。
そして、舞台奥に大きく敷き詰められた目が飛び出るほど高価なLEDのスクリーンの壁がそれぞれの演目を全く違うシーンへと連れていってくれます。
LEDの巨大スクリーンは、最近ではいろんなラスベガスのショーで使われていて安易な照明効果だと言われがちですが、「じゃない」劇場で迫力を出すにはとても効果的です。そういった工夫も観劇されるときに確認してもらえたらショーの楽しさがアップしますヨ。専用「じゃない」劇場の底力を感じると思います。
最後にハネックさん一言お願いします。
「ラスベガスのほとんどすべてのショーを見てきたけど、あのZumanityが幕を下ろしてしまってから、男と女が一緒に創り上げるフリーダムボディーのショーはなかったんや。このRougeはそれを継承していく。この小さな650席の劇場から、壮大な俺の夢を創り上げていくからこれからもよろしく!」
イスラエルではめちゃくちゃ有名で知らない人はいないと言われているこのハネックさんの思いが詰まっている「Rouge」
ちょっと大人の情熱を楽しんみながら観る夜もよいのではないでしょうか?
By Yasu Yoshikawa
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